2週ほど前から携帯が見つからない。
すぐにどこかから出てくるだろうと構えていたが、その様子が全くなくて10日が過ぎた。
「携帯はない」と腹をくくっていると意外に自由なもので、はるか昔、笹塚で一人暮らししている頃を思い出した。
電話の鳴らない生活は、一人旅と似た居心地の良さがある。
しかしだ、周りからするとそうはいかない。
新人の佐川のにぃちゃんが代引きを回収できないと上司にドヤされると泣きついていても、「電話がつながらないのだから仕方がないだろう」とは言える。
しかしだ、お客様が商品をピックアップに来てるのに、その置き場所が分からないなんて事になると、時期が時期だけに自分の首を絞める。
ナツヘイにも、カッキーにもそう諭され、新しい携帯を買うことに決めた。
「今日、買いに行こう」と決めたその朝、「待てよ」と思った。
「あんなに探したけど、車だけは見に行ってないな。第一、車に乗ってないのだから、車にあるはずないけど、念のため行ってみるか。」
薄暗いガレージでダッシュボードや座席の脇など手探りしたけどなかった。
「やっぱりそうだよな。車のはずないよな」と思いながら、前回携帯をなくした時、新しいのを買って一月経ってひょっこり出てきた運転席の座面とバックレストを間に手を入れて驚いた。
携帯らしきがあるのだ。
引っ張りだすと、なんと、それは前回そこで見つけた先代の携帯ではないか。見つけた時、すでに新しい携帯を買ってしまった後だったから、そのままそこに封印したのだった。
去年、内モンゴルから帰ってきた直後だから、1年以上前の話だ。
我ながら呆れたが、次の瞬間ひらめいた。
「コレが使えるじゃん!」
その後、ドコモに行ったらきれいなお姉さんが親切にしてくれたとか話は続くのだけど、取り急ぎ、携帯復活!
キ
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