夕べのことだ。
作りかけた棚がどうもしっくりしなくて遅くまで残業していた。
1時もとうにまわった頃だろう、材料も工具も外に出しっ放しだったから「スパナをどこにやった?」と探しているとベンチの下にバラバラと何かか落ちている。
数千円分のお札が裸であって、2つ折りの財布も開いたまま。中にはカードがぎっしりつまり、札も何枚か入っていた。財布は明らかに女物と分かるから、ワタシは少し身を固くした。
紙袋を用意して目につくものを片っ端から入れた。千円札の束と財布の他、名刺入れ、キャッシュカード3枚、名刺4−5枚、シャープペンシルのようなもの。
酔っぱらってフラフラしてるところにベンチがあったのだろう。ホッとして、携帯かなんか出した拍子に全部落とした様子が目に浮かぶ。
しばらくしても落とし主は戻ってこないから、まだ気づいていないに違いない。かわいそうに。
数年前、銀行で引き出した結構な金額の現金を、あろうことか封筒に入れたままATMの上に置き忘れた。
すぐに気がついて戻ったが、機械の上に封筒はなかった。
途方に暮れたが、親切なおばちゃんが交番に届けてくれて事なきを得た。
どこにでも親切な人はいる。
「この時間じゃ、交番にも人がいないだろう。明日届けてやろう」
あの時の恩返しだと思った。
今朝、店を開けて最初に荷物を運び出したら、植え込みの脇に玉が落ちている。
この玉は、古い友人のお母さんからもらった「お遍路さん」のお守りに付いていた玉だ。
なくなっているのに気づいたのも1週間ぐらい前のこと。
あきらめてたが、こんな縁で見つかった。
キ
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