ワタシが拾った財布がどうなったか、気になっている方も多いだろう。
カードが一杯詰まった財布だ、落とし主が現れぬはずがない。
果たして、2日後、その主は菓子折りを持って店に現れた。
夜中の1時過ぎに財布を落とすぐらいだ、イケイケのコギャルかと想像したのに反して、かなり落ちついた感じの女性だった。
ばりばり仕事をしてそうな感じ。
「一度戻って探したんですが、お店も閉まってたし、出てこなかったら月曜日に届け出ようと思っていたんです」
そう言って、大きな包みを差し出した。
ワタシは人見知りが強く、こういう場面でどう対応したら良いのか分からない。
「良かったですね」と曖昧な返事をして差し出されたものを受け取った。
どこで気づいたのか。
袋に入れたので全部だったのか。
そんな事ぐらい聞けば良かったかも知れぬ。
しかしだ。
こうして落とし主が目の前に現れると、「女物の財布だ」と身を固くした一瞬の情景がよみがえり、やましい事はないのに、妙に恥ずかしくて、ワタシは最後まで彼女の顔を見る事ができなかった。
キ
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