「行こか?」
いきなり言われて少し驚いた。
でも、こちらは充分良い心持ちになっているから、そうかと納得して店を出た。
路地を一本曲がると
「ちきしょう。あんな店、もう二度と行ってやんねぇ。みんなにも連絡して、行くなって言ってやるかな」
苦虫を噛みつぶしたように彼は吐き出した。
ワタシは呆気に取られたが、すぐに彼の憤慨が理解できた。
つい5分前、ワタシは「もう少し静かに話してください」と店員にたしなめられたのだ。
ワタシは慣れっこだし、ご機嫌だったから気にも留めなかったが、彼のどこかに引っかかったようだった。
「後ろに居た客だって、大丈夫ですって言ってたじゃねぇか!!」
握った拳に力を入れて吐き捨てた。
この人は友だちだとその時思った。
キ
コメント