ちょうど1年前のことだ。
白馬で、8日間、雪掘りしていた。
「CAA/レベル1」と呼ばれるその講習は、カナダにおいて、雪山に従事する者がその初めの1歩として受講を義務ずけられる国家資格。
本国では5日間の日程だが、カナダから講師を招き、日本語の通訳を介しての講習の為、同じ内容を8日間かけてみっちり仕込まれる。
トップシーズンの白馬をロケーションに、朝、日の出前のウェザーステーション(定点観測)から、講習、実地、戻ってきてまた講習。夜8時まで、連日びっしりのスケジュールが続いた。
課程の最後に試験がある。
これに受からなければ資格はもらえない。
ビーコン捜索は「5分以内に2台」。
1台目のビーコンの電波を切らずに、2台目のビーコンをプローブで特定する。
ビーコンは、約1メートルの深さに埋まっている。
この試験に落ちた。
落ちたのは、18名中2人。
期せずして同じパーティーの、同じビーコンを使うメンバーだ。
追試があり、追試に受かれば、それとして認められる。
内容は同じだ。
「練習しましょう!」
相棒がいたのは心強かった。
一方がビーコンを隠し、時間を計る役をする。
探している方は必至だから汗だくになるが、夜明け前の吹雪の中で、相棒が探しているのを見ながら、時計の液晶を確認するのは辛かった。
寒々とした薄明かりの田圃が、今も瞼によみがえる。
幸いにして、2人とも再試に受かった。
あの時、凍える身体を守ってくれた「ARC'TERYX / FISSION SV」。
当然、かなりの思い入れがある。
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